2010.12.06

愚作・AoyamAkasakA







左手にコーヒーカップ。
ポケットに携帯灰皿。
非常階段でタバコをくゆらせていると、
アルコールの夢が浮かんでくる。
妻と猫が温かい。
眠く、不機嫌な自分と、
苦く、香りのないコーヒー。
炎症中の気管支がうずく。


どこまで行くのか、
結局私も女もわかっていません。
旅は道連れと申しますが、その通りで。


なるほどのお。
とはいえ、そんな足袋では歩きにくかろうに。


しかしまあ、
当て所なく歩いていられるのはこれ、
公方様の天下のおかげ。
ここ数年、賊も盗人も、
私は見たことがありませぬ。


お主が見たことがないだけじゃのう。


あっはは。


浮かんだ夢を丸めてみると、
形も色も匂いも灰汁が強い。
スペースを埋めるために使おう。
緩衝材にちょうどいい。
それから蓋をして、
テープで留めれば、
もう見えないだろう。


私は見たことがありませぬ。


お主が見ようとせんかっただけじゃのう。


あっはは。


ここは喫煙所じゃないので…
と普段陽気な管理人が
中腰揉み手で上目遣い。
つまりタバコを消せと申すのであるな?
消せとは畏れ多いものの、
つまり左様にございます。
心得た。
この一本だけ吸ったら止める。
畏れながら。
畏れながら、
即刻お願い申し上げたく。
わかりました、
すいません。
吸いません。


天気がいい。
今日も昨日も。


妻のスマートフォンは
スマートに動かなかった。
よく分からない僕も
スマートに動かせられなかった。
スマートな人の
スマートなブログで
スマートな解決を探るも、
案外誰もがスマートでなかった。
僕のスマートフォンは
スマートに入荷しなかった。


妻と猫が温かい。
日曜日、昼下がり、眠く、
出かけず、惰眠を取り、
サザエさんの終わりに
ビールの栓を抜く。
炎症中の気管支がうずく。


天気が良かった。


おひとりですかな。
ひとりといえばひとりですが、
女がおります。
今はおりませんが。


どちらまでいかれるのですかな。
さて、どこまでですか。


そこにお堂があったじゃろう。


さて、お堂なんぞありましたかな。


お主が見なかったことにしているだけじゃろう。


あっはは。


スマートな夢とスマートな道のりが
私と妻と猫には欠けている。
管理人が去ったのを確かめて、
もう一本に火を点ける。
ビールは腹がふくれすぎる。
日本酒はちょっと飲み飽きた。
バーボンは翌日に残るようになった。
ワインはすぐに空いてしまう。
どこまで行くのか、
結局私も女もわかっていません。
旅は道連れと申しますが、その通りで。


左手に空のコーヒーカップ。
ポケットに携帯灰皿。
非常階段でタバコをくゆらせていても、
アルコールの夢が消えていかない。
次から次に夢を丸めていると
ちょっと作業が面白くなってくるのだけど、
形も色も匂いも灰汁が強い。
私と妻と猫が温かい。
眠く、不機嫌な自分。









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